2019/03/15 19:32
こんにちは。
幻想古書店Once Upon a Timeの水波流です。
TRPGやファンタジーをはじめ、児童文学や旅行記など読書全般が趣味です……と前回お話ししましたが、オカルトやホラーなども好みです。
TRPGファンも多いFT新聞読者のみなさまは、クトゥルフ神話はご存知のことかと思いますが、今日は日本のクトゥルフとも言うべき伝奇漫画作品を紹介したいと思います。
◆諸星大二郎著『暗黒神話』
「縄文に興味があるようじゃね……」
諏訪の資料館を訪れていた少年、武に怪しげな老人が語りかけてきた。
老人の言葉に翻弄され、少年は日本全国の遺跡を巡る旅に出る。
古代遺跡の洞窟の更に奥底、カラ…カラと白骨が靴の下で音を立てる闇の中。カンテラで照らすその先に居たモノは…。
ヤマトタケル伝説。出雲神話。古事記。日本書紀。
仏教。密教。神道。古代ヒンドゥー教。ヴェーダの教え。
タケミナカタ。オオナムチ。
邪馬台国。卑弥呼。不老不死の泉。
甲賀三郎の人穴。武内宿禰。
施餓鬼寺。馬頭観音。磨崖仏。
草薙剣。八咫鏡。八尺瓊勾玉。
オリオン座の示すところ。暗黒星雲。
日本古代史にまつわるあらゆる要素を散りばめた、怪作。
なんとこの本、1976年に週刊少年ジャンプで掲載されていた作品ですが、作者自らが強く希望し大幅加筆を加え、2017年に完全版として出版されています。
ちなみに諸星大二郎の作品ではもう一つ、異端の民俗学者・稗田礼二郎が日本各地の名もなき村や町で出会う人知を超えた怪異な事件を描く、妖怪ハンターシリーズもオススメです。
◆書誌情報
『暗黒神話 (集英社文庫)』集英社 (1996/11/1)、定価648円(税込)
『暗黒神話 完全版』集英社(2017/3/17)、定価3456円(税込)
※上記以外にも複数バージョンあり(ただし全て絶版)